一体、何が良くて何がダメなのか。どこに落とし穴があるのか。
起業って、めちゃくちゃ大変なイメージありますよね。資金集め、事業計画、商品開発、マーケティング…。考えただけで頭が爆発しそうです。でも、フランチャイズなら、その辺をごっそりショートカットできる。「成功のパッケージ」に乗っかるだけで、あなたも一国一城の主に!…なんて、甘い言葉を信じていませんか?
フランチャイズなら現実的な起業ができそうですよね。
残念ながら、現実はそんなに甘くありません。断言します。フランチャイズだからといって、簡単に成功できるわけじゃないんです。むしろ、「フランチャイズだからこその失敗」という落とし穴が、そこら中にパックリと口を開けて待っています。「こんなはずじゃなかった…」と涙を流すオーナーたちを、僕は、嫌というほど見てきました。
この記事では、そんなフランチャイズ起業のリアルな失敗談と、絶対に押さえておくべき注意点を、包み隠さずお話しします。この記事を読み終える頃には、「フランチャイズ、怖い…」と思うかもしれません。でも、それでいいんです。その恐怖こそが、あなたを失敗から守る最強の盾になりますから。この記事は、あなたの夢を壊すためのものではありません。あなたの夢を、安っぽい幻想で終わらせないための、現実という名のワクチンです。
フランチャイズで失敗する最大の原因、それはもう、突き詰めれば「人任せ」の精神、これに尽きます。本当に、これだけなんです。資金計画が甘い?本部選びを間違えた?契約書をよく読んでなかった?全部、根っこは同じ。誰かがやってくれる、本部が何とかしてくれる、という甘えが、あなたを地獄に突き落とすんです。
「だって、そのためのフランチャイズでしょ?」「成功のノウハウを金で買ってるんだから、あとは本部の指示通りやればいいだけじゃないの?」…聞こえますよ、その声が。でもね、大きな勘違いをしています。本部は、あなたのお母さんじゃありません。手取り足取り、一生面倒を見てくれる保護者じゃない。彼らはビジネスパートナー。あくまで対等な(時には、向こうが圧倒的に有利な)関係なんです。
自分の城の主は、あなた自身。なのに、いつまでも「雇われ店長」気分でいたら、どうなるか。本部の言うことが絶対だと思い込み、思考停止に陥る。逆に、本部のサポートを「足りない!」と文句ばかり言い、自分で努力することを放棄する。どちらに転んでも、待っているのは「失敗」の二文字。あなたが持つべきは、「この事業は、100%自分の責任で成功させる」という、燃えるような当事者意識。それがないなら、悪いことは言いません、今すぐフランチャイズ起業なんて考えは捨てた方が身のためです。
「人任せがダメなのはわかったよ。でも、具体的にどんな失敗があるの?」と思いますよね。ええ、ここからはもっと生々しく、具体的な失敗パターンを解剖していきましょう。これらはすべて、僕が実際に見聞きしてきた、あるいは体験してきた(!)血と汗と涙の物語。あなたには同じ轍を踏んでほしくない。心の底からそう願っています。
まず、一番多いのがこれ。本当にお金の話はシビアです。「開業資金〇〇〇万円で、あなたもオーナーに!」みたいなキラキラした広告、見たことありますよね。あれ、信じちゃダメですよ。いや、嘘じゃないのかもしれないけど、情報が足りなすぎるんです。
僕の知り合いに、脱サラして念願のカフェをフランチャイズでオープンしたA君がいました。開業資金は、退職金と親からの借金でなんとかクリア。彼は本部のシミュレーションを信じきっていて、「まあ、オープンすればトントンくらいにはすぐなるだろう」と楽観していました。でも、現実は非情です。オープン景気は最初の1ヶ月だけ。その後は客足がパタリと途絶え、売上は想定の半分以下。
なのに、ロイヤリティや家賃、人件費、光熱費、そして見落としがちな社会保険料や税金の支払いは、容赦なく襲いかかってきます。 「運転資金?なんとかなるでしょ!」と思っていた彼の甘さが、命取りになりました。結局、彼はオープンからわずか半年で店を畳むことに…。手元には、退職金どころか、大きな借金だけが残りました。
これ、他人事じゃないですよ? 開業資金は、あくまでスタートラインに立つための費用。本当に重要なのは、事業が軌道に乗るまでの数ヶ月、あるいは1年を耐えしのぐための「運転資金」なんです。本部が出してくる売上予測なんて、最高にうまくいった場合の「理想値」であることがほとんど。それを鵜呑みにせず、最悪の事態を想定して、石橋を叩き割るくらいの慎重さで資金計画を立ててください。じゃないと、A君の二の舞です。
次にヤバいのが、パートナーであるはずの本部選びの失敗。これもまた、悲劇しか生みません。加盟する前って、どうしても本部の良いところばかりに目が行きがちですよね。説明会では景気の良い話ばかり聞かされ、「このブランドなら間違いない!」「サポート体制も万全だ!」なんて、舞い上がってしまう。
でも、ちょっと待ってほしい。その本部のこと、本当に理解していますか?僕が昔、加盟を検討したあるフランチャイズは、とにかく「誰でも簡単に儲かる!」の一点張りでした。勢いに押されて契約寸前まで行きましたが、ふと「この人たち、理念とか哲学ってあるのかな?」と疑問に思ったんです。で、突っ込んで聞いてみたら、案の定、答えはしどろもどろ。「とにかく店舗数を増やしたい」という本部の都合しか見えてこなかった。危なかった…。
ブランドの将来性、収益モデルの健全性、そして何より、経営理念に心から共感できるか。 これ、めちゃくちゃ大事です。「金儲けできれば理念なんてどうでもいい」って?そんな考えだから失敗するんですよ!熱意や愛情を持てない事業が、長続きするわけないじゃないですか。それに、いざトラブルが起きた時に、頼りになるはずのサポート体制がスカスカだったら?
研修は名ばかり、スーパーバイザーは名刺交換したきり音信不通…なんて話、ザラにありますからね。神様だと思っていた本部が、実はただの搾取システムだった…なんてことにならないように、自分の目で、耳で、そして心で、信頼できる本部かどうかを徹底的に見極めてください。
そして、これが最も恐ろしいかもしれません。契約書の軽視です。フランチャイズ契約書って、分厚くて、専門用語だらけで、読む気が失せますよね。わかります、すごくわかります。でも、そこで思考停止したら、ゲームオーバーです。
「まあ、大手だし、変なことは書いてないでしょ」
「担当の人が良い人そうだから、信じよう」
こんな風に、ろくに読みもせずにサインしてしまう人が、本当に、本当に多いんです。でも、そのサイン一つで、あなたは数年間、その契約に縛られることになる。後から「こんなはずじゃなかった!」と叫んでも、もう遅い。契約書は、本部を守るために作られているんです。あなたを守るものではありません。
例えば、中途解約時の高額な違約金、売上に関係なく払い続けなければならない固定のロイヤリティ、テリトリー権(営業地域の保護)が保証されていない、本部の許可なくメニューや価格を一切変更できない、などなど…。あなたにとって、圧倒的に不利な条件がこっそり盛り込まれている可能性があります。「いや、だって法律用語とかわかんないし…」という言い訳は通用しません。わからないなら、わかるまで質問する。
それでも不安なら、弁護士や中小企業診断士といった専門家にお金を払ってでもチェックしてもらう。その費用をケチって、将来何百、何千万という損失を被るのと、どっちが良いですか?って話ですよ。サインする前に、血眼になって契約書を読み込んでください。あなたの未来は、その紙切れ一枚にかかっているんですから。
さて、ここまで主に「準備段階」での失敗について話してきましたが、問題はオープンした後にも潜んでいます。というか、むしろここからが本番です。そして、ここでの失敗の原因は、ほぼ100%「オーナー自身の勘違い」に起因します。自分は悪くない、悪いのは本部だ、客だ、時代だ…と、他人のせいにし始めたら、もう黄信号です。
まず登場するのが、この「俺流最高!」な独裁者タイプ。 フランチャイズに加盟したはずなのに、なぜか本部の成功ノウハウをガン無視して、自己流を貫こうとするんです。いやいや、そのノウハウにお金を払ったんじゃなかったの?と、ツッコミたくなりますよね。
「本部のマニュアルは、うちの地域性に合わない」
「俺のアイデアの方が、絶対に客にウケるはずだ」
気持ちは、まあ、わからなくもないですよ。自分の店なんだから、自分の色を出したい。でも、フランチャイズの強みは、まさに「成功が実証された統一されたフォーマット」にあるんです。それを勝手にいじくり回したら、ブランドイメージは傷つくし、品質もバラバラになる。お客様が「あのチェーンだから」と期待して来てくれているのに、出てきたものが全然違ったら、がっかりして二度と来なくなりますよね。
本部のアドバイスは、何百、何千という店舗の成功と失敗のデータから導き出された、いわば「叡智の結晶」なんです。それを「古い」「時代遅れだ」と切り捨てる前に、まずは謙虚に、素直に、100%実践してみる。その上で、どうしても改善したい点があれば、きちんと本部にデータを示して「相談」する。その姿勢が大事なんです。独裁者の城に、民(お客様)は集まりませんよ。
独裁者タイプとは真逆なのが、この「雇われ店長」マインドの人。いつまで経っても、自分が「経営者」だという自覚が持てないんです。本部に加盟金を払ったんだから、あとは本部が全部お膳立てしてくれる、集客も、求人も、売上アップの施策も、全部本部が考えてくれる…。そんな風に、口をあんぐり開けて、ただ待っているだけ。
これ、一番ダメなパターンかもしれません。 なぜなら、何の成長もないから。本部のスーパーバイザーは、定期的に巡回してアドバイスをくれるでしょう。でも、それはあくまで「アドバイス」。最終的に決断し、実行するのは、現場のオーナーであるあなた自身なんです。近隣に強力なライバル店ができた時、どう対策を打ちますか?スタッフが突然辞めてしまった時、どうやって新しい人を探し、育てますか?売上が落ち込んできた時、どんなチラシを撒き、どんなキャンペーンを打ちますか?
これらすべて、本部が答えをくれるわけじゃありません。「経営とは、決断すること」です。他人任せで、誰かの指示を待っているだけの人は、そもそも経営者に向いていません。あなたは、看板を借りただけの「個人事業主」であり、すべての結果に責任を負う「社長」なんです。その覚悟がないまま、ただ本部にもたれかかっているだけなら、船が沈む時に一緒に沈んでいくだけ。それって、あまりにも虚しくないですか?
ここまで、フランチャイズ起業の暗くてドロドロした部分を、これでもかというくらいお見せしてきました。きっと、「フランチャイズなんて、やるもんじゃないな…」と怖気付いてしまった人もいるでしょう。でも、僕が本当に言いたいのは、そういうことじゃないんです。
フランチャイズは、「楽して儲かる魔法の杖」では決してありません。しかし、正しく理解し、正しく使えば、これほど心強い武器もありません。それは、暗闇の荒野をたった一人で彷徨うのではなく、「信頼できる地図とコンパスを借りて、自分の足で冒険に出る旅」のようなもの。道に迷った時には相談できる相手がいて、喉が渇けば水のありかを教えてくれる。でも、最終的に道を切り拓き、一歩一歩前に進むのは、他の誰でもない、あなた自身の足です。
資金計画の甘さ、本部選びの失敗、契約の軽視、そして経営者としての自覚の欠如…。これらすべての失敗の根源にあるのは、「他人任せ」という甘えでした。逆に言えば、すべての責任を自分で負うという強烈な当事者意識さえあれば、ほとんどの失敗は未然に防げるんです。
この記事を読んで、それでも「やってやろうじゃないか!」と心の火が消えないのなら、あなたはきっと成功できる素質があります。その熱量こそが、あらゆる困難を乗り越える最強のエンジンになるからです。フランチャイズというシステムを最大限に利用し、しかし決して依存はしない。自分の事業だという誇りと責任を胸に、挑戦してみてください。その先には、雇われの身では決して見ることのできない、刺激的で、最高にエキサイティングな景色が待っているはずですから。あなたの武運を、心から祈っています。