会社に就職したくないから起業はアリ?「甘い」と言われても、その想いが最強の武器になる理由

「会社に就職したくない。だから自分で起業したい」。そう考えているあなたは、周りから「甘い」「現実から逃げているだけだ」と諭された経験があるかもしれません。そんな言葉に、少しだけ罪悪感を覚えたり、自分の考えは間違っているのだろうかと不安になったりしていませんか。

 

会社で働くというイメージが理想とは異なる人はいるはずです。

 

結論からお伝えします。その考え、まったく問題ありません。むしろ、会社員という生き方に疑問を持ち、「就職したくない」と強く思うその気持ちこそが、あなたを突き動かす強力なエネルギーになります。

 

この記事では、「就職したくない」という一見ネガティブな動機が、なぜ起業において最強の武器になり得るのか、そしてその想いをどうやって形にしていくべきかを徹底的に解説します。この記事を読み終える頃には、あなたは自分の気持ちに自信を持ち、自分らしい未来を切り拓くための一歩を踏み出す勇気を得ているはずです。

「就職したくないから起業」は甘えじゃない、むしろ最強の動機だ

 

「会社で働くのが嫌だから起業する」という動機は、一見すると消極的で、甘えているように聞こえるかもしれません。しかし、物事の始まりは、どんな些細な、あるいはネガティブに見えるきっかけでもいいのです。

 

大切なのは、その動機がどれだけ強く、あなたを行動に駆り立てるかです。世間体を気にして無理やり就職するよりも、「絶対に就職したくない」という強い意志は、起業といういばらの道を突き進むための、何物にも代えがたい原動力となり得ます。

世間が言う「立派な動機」なんて必要ない

起業を志すとき、「社会に貢献したい」「世界中の人々を幸せにしたい」といった、壮大で立派な動機を語らなければならないような風潮があります。もちろん、そうした志を持つことは素晴らしいことです。しかし、すべての起業家が最初からそのような高尚な理念を掲げていたわけではありません。

 

歴史に名を残す起業家たちの原点も、実はもっと個人的で、生々しい欲求だったりします。自分の作ったコンピュータが友人にウケたのが嬉しかったから。欲しいサービスが世の中に存在しなかったから。あるいは、単純に既存の権威やルールが気に食わなかったから。きっかけは、そんな個人的な感情であることがほとんどです。

 

あなたの「就職したくない」という気持ちも、それらと何ら変わりありません。無理に「社会のため」といった大きな物語を自分に課す必要はないのです。まずは自分の心に正直になること。それが、あなただけの物語を始めるための、最も誠実なスタート地点になります。

 

社会のためは、儲かってから考えても良いことです。

「嫌だ」という強烈な感情が行動の源泉になる

人間の感情の中で、実は「好き」や「やりたい」といったポジティブな感情よりも、「嫌だ」「やりたくない」というネガティブな感情の方が、時として強い行動力を生み出すことがあります。例えば、「健康のために運動しよう」という目標よりも、「このままでは病気になってしまう」という危機感の方が、人をジムに向かわせる力は強いかもしれません。

 

「会社に就職したくない」という感情も同じです。それは、満員電車に揺られる毎日、理不尽な上司からの指示、意味を見出せない会議、決められた時間と場所に縛られる生活…そういったものに対する、あなたの魂からの「NO」という叫びです。

 

この強烈な「嫌だ」という感情は、現状を何としてでも変えなければならないという、強力な推進力に変わります。安易な妥協を許さず、困難な状況にあっても「あの生活に戻るくらいなら」と、あなたを前へ前へと押し進めてくれるでしょう。そのエネルギーは、中途半端な「やりたい」という気持ちよりも、ずっと粘り強く、あなたを支えてくれるはずです。

お金持ちになりたい、モテたい、楽したい すべてが原動力

「お金持ちになって好きなものを好きなだけ買いたい」「異性から注目されたい」「南の島で何もしないで暮らしたい」。こうした欲望は、口に出すのが少しはばかられるかもしれません。不純な動機だと笑われるかもしれない、と。しかし、断言します。これらの欲望は、すべてがビジネスを始めるための立派な原動力です。

 

そもそも、ビジネスの多くは人間の欲望を満たすことで成り立っています。食欲、睡眠欲、承認欲求。これらの根源的な欲求に応えるからこそ、人はお金を払うのです。であるならば、起業家自身が強い欲望を持っているのは、むしろ自然なことではないでしょうか。

 

大切なのは、その欲望をただの夢物語で終わらせないことです。「お金持ちになりたい」からこそ、必死で市場を分析し、収益モデルを考える。「楽をしたい」からこそ、誰よりも知恵を絞って、効率的な仕組みを構築しようと努力する。そのプロセスこそが起業活動そのものです。あなたの欲望は、決して恥じるべきものではなく、目標達成のためのガソリンなのです。

なぜ「就職したくない」は「甘え」だと言われるのか?

 

多くの人が「就職したくない」という動機を「甘え」だと感じるのには理由があります。それは、多くの人が「働く=会社に雇われること」という固定観念を持っているからです。社会の大多数が歩むレールから外れることへの恐れや、安定を善しとする価値観が、起業という選択を「逃げ」だと捉えさせてしまうのです。しかし、その「常識」は本当に正しいのでしょうか。他人の価値観に自分を合わせる必要はありません。

「安定」という名の思考停止に陥る人々

私たちの親世代や、さらにその上の世代にとって、「良い大学を出て、良い会社に就職すること」が幸せへの片道切符でした。一度会社に入れば、終身雇用と年功序列に守られ、定年まで安泰な人生が約束されていた時代です。その価値観の中では、会社に属さない生き方は「不安定」で「危険」なものと映るのは当然でしょう。

 

不安定で危険というのももちろん正しいことです。これが無くなったわけではありません。

 

しかし、時代は大きく変わりました。かつて日本を代表した大企業が大規模なリストラを行ったり、外資に買収されたりするニュースはもはや珍しくありません。終身雇用は崩壊し、会社の寿命よりも個人の労働寿命の方が長くなるとも言われています。

 

つまり、会社に所属していること自体が「安定」を保証してくれる時代は、とっくの昔に終わっているのです。にもかかわらず、「会社員=安定、起業=不安定」という古い価値観に縛られている人は少なくありません。彼らがあなたの選択を「甘え」と批判するのは、あなたを心配しているからというよりも、自分たちが信じてきた「安定」という名の神話が揺らぐことへの恐れが根底にあるのかもしれません。

あなたの人生のレールはあなたが敷くもの

私たちは、生まれた時から社会が用意した見えないレールの上を歩くことを期待されています。良い学校に入り、良い会社に就職し、家庭を築く。そのレールから外れることは、「落ちこぼれ」や「異端」と見なされがちです。

 

しかし、そのレールは本当にあなたの望む行き先に続いているのでしょうか。誰かが決めた「幸せ」のテンプレートに、自分を無理やり押し込める必要はどこにもありません。満員電車に揺られ、興味のない仕事に時間を費やす人生が、果たしてあなたにとっての幸せでしょうか。

 

あなたの人生の主役は、あなた自身です。親でも、先生でも、世間でもありません。他人の評価を気にして、自分の心の声を無視し続けることほど、不幸なことはないでしょう。会社に就職しないという選択は、他人が敷いたレールから降り、自分の手で、自分だけの新しいレールを敷き始めるという、勇気ある決断なのです。

あなたの「働きたくない」の正体を突き止めよう

 

あなたが感じている「働きたくない」という気持ち。その感情を、もう少し深く掘り下げてみましょう。本当に「労働」そのものが嫌なのでしょうか。おそらく、そうではないはずです。多くの人が嫌だと感じているのは、「会社」という特定のシステムの中で働くことではないでしょうか。満員電車に揺られる毎日、理不尽な上司の命令、意味を見出せない会議。これらから解放されたいという願いが、「働きたくない」という言葉に集約されているのです。

あなたが本当に嫌なのは「労働」ではなく「会社員」という働き方

少し想像してみてください。もし、あなたが心から情熱を注げるテーマを見つけ、自分のペースで、好きな仲間と、自由にそのテーマを追求できるとしたら。それは「働きたくない」ことでしょうか。きっと、寝る間も惜しんで没頭してしまうかもしれません。

 

つまり、多くの人が嫌悪感を抱いているのは、「労働」という行為そのものではないのです。価値を創造したり、誰かの役に立ったり、自分のスキルを磨いたりすること自体は、本来、喜びに満ちた行為のはずです。問題なのは、「会社員」という働き方に付随する、数々の不自由さや理不尽さなのです。

 

自分の仕事の成果が正当に評価されないこと。会社の都合で興味のない部署に異動させられること。無駄だとわかっているルールや慣習に従わなければならないこと。あなたが「働きたくない」と感じるのは、こうした組織の歯車として自分をすり減らすことへの、健全な拒否反応と言えるでしょう。

満員電車、人間関係、時間的拘束 就職で失うものを直視する

あなたが「就職したくない」と思う理由を、もっと具体的に言語化してみましょう。そうすることで、あなたが本当に手に入れたいものが明確になります。

 

例えば、毎朝の満員電車。ぎゅうぎゅう詰めの車内で1時間も過ごすことは、肉体的にも精神的にも大きなストレスです。往復で2時間、1年で約500時間。この膨大な時間を、あなたは自分のために使いたいと思いませんか。

 

次に、人間関係。気の合わない上司や同僚と、毎日顔を合わせなければならない苦痛。飲み会への強制参加や、社内政治への気遣い。あなたは、付き合う人を自分で選びたいと思いませんか。

 

そして、時間的拘束。朝9時から夕方5時(あるいはそれ以上)まで、オフィスに縛り付けられる生活。平日の昼間に役所に行ったり、ふらっと映画を観に行ったりする自由はありません。あなたは、自分の時間を自分の裁量でコントロールしたいと思いませんか。これら失うものを直視すればするほど、「就職」という選択肢が自分にとって魅力的でないことがはっきりと見えてくるはずです。

起業は「嫌なこと」を徹底的に排除する手段

起業は、単にお金を稼ぐための手段ではありません。それは、あなたが人生で「嫌だ」と感じることを、一つひとつ丁寧に取り除いていくための、極めて有効な手段です。

 

満員電車が嫌なら、自宅や好きなカフェで仕事をすればいい。理不尽な上司が嫌なら、自分が上司になればいいし、そもそも上下関係のないフラットな組織を作ればいい。時間の拘束が嫌なら、成果さえ出せばいつ働き、いつ休んでもいいというルールを自分で作ればいいのです。

 

もちろん、起業すればすべてが自由で楽園になるわけではありません。会社員とは比較にならないほどの責任とプレッシャーがのしかかります。しかし、その苦労は、他人に強いられた理不尽さから来るものではなく、すべて自分の選択の結果として受け入れることができます。

 

この「自己決定権」こそが、起業がもたらす最大の価値の一つであり、あなたが求めているものの正体なのかもしれません。

起業家は少し「ネジが外れている」くらいが丁度いい

 

社会の「当たり前」に素直に従える人は、優秀な会社員になれるかもしれません。しかし、新しい価値を創造する起業家には、少し違った資質が求められます。常識を疑い、「なぜこうなっているんだろう?」「もっと良い方法があるはずだ」と考える力。周りから「変わっているね」と言われるような、少しだけ"ネジが外れた"感覚こそが、誰も思いつかなかったビジネスチャンスを発見するきっかけになるのです。

「みんなと一緒」ではイノベーションは生まれない

日本の多くの組織では、「和」や「協調性」が重んじられます。空気を読み、周りの意見に合わせ、波風を立てないことが美徳とされる文化です。こうした環境は、決められた業務を効率的にこなす上では有効かもしれませんが、新しいアイデアや変革、すなわちイノベーションを生み出す土壌としては、決して豊かとは言えません。

 

「みんながやっているから」「前例がないから」「上がそう言っているから」。こうした思考停止の言葉が飛び交う環境で、世界を変えるようなサービスが生まれるでしょうか。イノベーションの歴史は、常に「みんなと違うこと」を考え、実行した人たちによって作られてきました。

 

「就職したくない」というあなたの考えは、まさにこの「みんなと一緒」の状態に疑問を投げかける行為です。それは、あなたが同質性の高い集団から抜け出し、独自の視点で物事を考える素質を持っていることの証左でもあるのです。

成功した起業家たちの「変わった」原体験

世の中で成功したと言われる起業家たちの経歴を見てみると、必ずしもエリート街道をまっすぐに歩んできた人ばかりではないことに気づきます。むしろ、学生時代に馴染めなかったり、会社組織で浮いてしまったりと、何らかの「ズレ」を抱えていた人が少なくありません。

 

彼らは、既存のシステムや常識にうまくフィットできなかったからこそ、その外側に新しい世界を創り出す必要がありました。社会のルールに疑問を持ち、既存の権威に反発する。そのエネルギーが、既成概念を打ち破るようなサービスやプロダクトを生み出す原動力となったのです。

 

もしあなたが、周りの人たちと少し違う感覚を持っていると感じるなら、それはコンプレックスではなく、才能かもしれません。「変わっている」と言われることを恐れる必要はありません。そのユニークな視点こそが、他の誰も気づかない問題点や、満たされていないニーズを発見するための、特別なレンズになるのです。

常識を疑う力が、ブルーオーシャンを見つけ出す

ビジネスの世界には、「レッドオーシャン」と「ブルーオーシャン」という言葉があります。レッドオーシャンは、多くの競合がひしめき合い、血で血を洗うような価格競争が繰り広げられる市場のこと。一方、ブルーオーシャンは、競争相手のいない未開拓の市場を指します。

 

このブルーオーシャンを発見するために不可欠なのが、「常識を疑う力」です。世の中の多くの人が「不便だけど、まあこんなものだろう」と諦めていること。業界の誰もが「昔からこうなっているから」と疑いもしない慣習。そうした当たり前の中にこそ、新しいビジネスの種は眠っています。

 

「なぜ電話は有線でなければならないのか?」「なぜ本は紙でなければならないのか?」「なぜホテルに泊まらなければならないのか?」。こうした素朴な疑問が、携帯電話や電子書籍、民泊サービスといった巨大な市場を生み出してきました。「就職するのが当たり前」という常識を疑っているあなたには、他の常識も疑う才能が備わっている可能性が高いのです。

「楽をしたい」からこそ、本気で頭を使う

 

「楽をしたいから起業する」というのは、最高の褒め言葉かもしれません。なぜなら、「楽をする」という目的を達成するためには、誰よりも真剣に、そして徹底的に頭を使わなければならないからです。汗水流して長時間働くことだけが美徳ではありません。どうすれば自分が働かなくても収益が上がる仕組みを作れるか。どうすれば面倒な作業を自動化できるか。その思考こそが、優れたビジネスモデルの根幹をなすのです。

「楽=サボること」ではない、「楽=仕組み化」と捉える

多くの人は、「楽をしたい」と聞くと、「怠ける」「サボる」といったネガティブなイメージを抱きがちです。しかし、起業における「楽」は、まったく意味が異なります。ここで言う「楽」とは、非効率なことをやめ、物事を「仕組み化」することによって、最小限の労力で最大限の成果を出す状態を指します。

 

例えば、毎日手作業で100件のメールを送るという作業があったとします。これを根性でやり続けるのが、旧来の働き方です。一方、起業家的な発想では、「この作業を自動化するツールを作れないか?」「もっと効率的な方法はないか?」と考えます。そして、一度その仕組みを構築してしまえば、あとはボタン一つで同じ成果を得られるようになります。

 

これが「楽をする」ことの本当の意味です。目の前の作業に忙殺されるのではなく、一歩引いて全体を俯瞰し、より賢い方法を考える。それは怠惰どころか、極めて知的で創造的な活動なのです。

時給労働からの脱却 どうすれば自動で収益が生まれるか考える

会社員として働くことの本質は、「自分の時間を切り売りしてお金に換える」という時給労働です。あなたが働いた時間に対して給料が支払われるため、収入を増やそうと思えば、残業をしたり、より時給の高い仕事に転職したりする必要があります。しかし、1日は24時間しかなく、この方法には限界があります。

 

起業家が目指すべきは、この時給労働の概念からの脱却です。つまり、自分が直接働いていない時間にも、収益が自動的に発生する仕組みを作り上げること。これを「資産所得」や「不労所得」と呼びます。

 

例えば、有益な情報を提供するブログを書き、広告収入を得る。多くの人が使う便利なアプリを開発し、ダウンロード数に応じて収益を得る。一度作ったコンテンツやシステムが、あなたが寝ている間も、旅行している間も、24時間365日、あなたの代わりにお金を稼ぎ続けてくれる。この状態を目指して知恵を絞ることこそが、「楽をする」ための本質的な努力なのです。

面倒なことはやらない そのための解決策がビジネスになる

あなたが日常生活や仕事の中で「ああ、これって本当に面倒だな」と感じることはありませんか。実は、その「面倒」という感情は、新しいビジネスを発見するための非常に重要なセンサーです。なぜなら、あなたが面倒だと感じることは、世の中の他の多くの人も同じように面倒だと感じている可能性が高いからです。

 

歴史を振り返れば、多くの画期的なサービスは、人々の「面倒」を解決するために生まれてきました。洗濯板でゴシゴシ洗うのが面倒だから、洗濯機が生まれた。買い物に行くのが面倒だから、ネットスーパーが生まれた。確定申告の計算が面倒だから、会計ソフトが生まれた。

 

「面倒なことはやりたくない」という強い気持ちは、その面倒を解消するための解決策、すなわち新しい商品やサービスを生み出すための強力な動機になります。あなたの「楽をしたい」という欲求は、社会の非効率を改善し、人々をより快適にするための、イノベーションの源泉なのです。

現実は厳しい だからこそ「就職したくない」想いが支えになる

 

ここまで起業のポジティブな側面を語ってきましたが、もちろん現実は厳しいものです。資金繰りのプレッシャー、先の見えない不安、孤独との戦い。楽をするために始めたはずが、会社員時代よりも過酷な状況に陥ることも少なくありません。しかし、そんな時にあなたを支えてくれるのが、最初の「絶対に会社員には戻りたくない」という強烈な想いなのです。その気持ちがあるからこそ、困難な壁を乗り越え、前へと進むことができるのです。

起業後に直面するであろう3つの壁(資金、孤独、責任)

起業の道を歩み始めると、ほぼすべての人がいくつかの共通した壁にぶつかります。まず一つ目は「資金の壁」です。事業が軌道に乗るまでは、収入が不安定になりがちです。毎月の売上を気にしながら、銀行口座の残高が減っていくのを見るのは、想像以上に精神をすり減らします。

 

二つ目は「孤独の壁」です。会社員であれば、同僚や上司と悩みを分かち合えますが、起業家は基本的に一人です。重要な決断も、失敗した時の反省も、すべて自分一人で抱え込まなければなりません。周りの友人たちが安定した生活を送っているのを見ると、強い孤独感に襲われることもあるでしょう。

 

そして三つ目は「責任の壁」です。会社の看板がない状態で、すべての責任はあなた自身が負うことになります。顧客からのクレーム、取引先とのトラブル、従業員を雇えばその生活を守る責任も生じます。その重圧は、会社員時代の比ではありません。

「あの頃に戻るくらいなら」が踏ん張る力に変わる

こうした厳しい現実に直面した時、心が折れそうになる瞬間は必ず訪れます。「もうやめて、普通に就職した方が楽なのではないか」という悪魔のささやきが聞こえてくるかもしれません。

 

そんな時、あなたをギリギリのところで踏みとどまらせてくれるのが、他でもない、最初の動機です。「絶対に会社員には戻りたくない」「あの満員電車と理不尽な人間関係の世界には二度と帰らない」。この強烈な拒否反応、原体験から来る強い想いが、あなたの最後の砦となります。

 

「社会に貢献したい」といった漠然とした綺麗な動機は、厳しい現実の前では脆く崩れ去ってしまうことがあります。しかし、「あの頃の自分に戻るくらいなら、今のこの苦労の方が何倍もマシだ」という切実な気持ちは、どんな困難な状況にあってもあなたを奮い立たせ、もう一歩だけ前に進むための、揺るぎないエネルギーを与えてくれるのです。その「甘い」と揶揄された動機こそが、実は最もタフで、あなたを支え続ける力になるのです。

まとめ 自分の「わがまま」を貫き通す勇気を持とう

 

「会社に就職したくないから起業したい」。この考えは、決して甘えや逃げではありません。むしろ、自分自身の人生を真剣に考え、社会が用意した既定路線に疑問を持つことができる、知性と勇気の表れです。その一見ネガティブに聞こえる動機は、他人には真似できない、あなただけの強力なエネルギー源となります。

 

「楽をしたい」「自由に生きたい」という素直な欲求こそが、イノベーションの種であり、困難を乗り越えるためのガソリンです。周りの声に惑わされる必要はありません。あなたの「わがまま」を、あなた自身の力で実現するための第一歩を、今日から踏み出してみませんか。

 

もちろん、いきなり会社を辞めて全財産を投じる必要はありません。まずは、自分の「就職したくない理由」と「本当にやりたいこと」をノートに書き出すだけでもいい。興味のある分野について徹底的に情報収集をしたり、週末だけの小さな副業から始めてみたりするのも良いでしょう。

 

大切なのは、ただ考えるだけでなく、小さくても具体的な行動を起こすことです。その小さな一歩が、あなたの人生を大きく変えるきっかけになるはずです。あなたの心の叫びに、正直になってみてください。そこから、あなただけの物語が始まります。